3秒後、きみと恋がはじまる。



「そうだ。今日はみんなで図書室で勉強して帰るんだけど、良かったら桃ちゃんも来る?」



要くんが気を使って私に聞いてくれたけれど。



「お前、勉強なんてしないだろ」


茜くんが、そう言って笑うから。


……なにさ。
確かに私は普通科だけど。
テストで赤点とって、留年の危機に瀕しているバカな女だけど。

そういう人の方が勉強しなきゃいけないんだから!



……なんて、バカみたいな反論は、バカな女が嫌いな茜くんには口が裂けても言えなくて。



本当は、誰でもいいから数学を教えて欲しかったけれど。

……まあ、欲を言えば茜くんに教えて欲しかったけれど。




でも、茜くんにこれ以上バカな女だって思われたくなくて。

…しかも特進科のみんなの前で、留年の危機だなんてこと言えなくて。


ていうか、この中に混ざったら私、すごく浮いちゃうし。



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