3秒後、きみと恋がはじまる。
「……悪い、今日は俺帰るわ。
明日また誘って」
「え、茜どうしたんだよ」
「有村くん?」
そんな声が聞こえて、驚いて振り返ったら。
ドアのところにいた私の隣に、鞄を持った茜くんが立っていた。
「茜、くん…?」
「ほら。早く帰るぞ」
茜くんはそれだけ言って、ずんずんと廊下を進んでしまう。
「あ、え、待って…!」
私は意味もわからずその背中を追いかけた。
どうしたんだろう。
なんで急に帰る気になったんだろう。
…私も一緒に、帰っていいんだろうか。
「ねえ、あの」
やっと追いついて、茜くんの顔を見上げたら。
「…昨日のやつ、また会うかもしれないだろ。
しばらく1人で帰るな」
さらりと言われたその言葉に、心臓が、何かに掴まれたみたいにぎゅうっと苦しくなって。
それから、胸の奥から、熱くて甘い何かがあふれて。
「心配、してくれてたの…?」