3秒後、きみと恋がはじまる。


「私、こんないい点数初めてとったの!
茜くんが教えてくれたおかげだよ!」


「67点が初めて……?
それはもっと頑張ったほうがいいんじゃない」



意地悪ばっかり言うけれど。

前回のテストは赤点だった私に、一から数学を教えてくれて、それで平均点よりも上の点数を取れるようにしてくれて。

いつもいつも、助けてくれて。




「茜くん、魔法使いみたいだね!」



私が茜くんを好きになったあの日から、茜くんはずっと、私の魔法使いみたいだ。


何気なく言った言葉なのに、茜くんは驚いたように目を見張って、それから、眉を下げて優しく笑った。





「またかよ」



「へ…またって?」

「いや、なんでもない」



私、前にも魔法使いみたいだなんて言ったっけ?

不思議に思ったけれど、茜くんが珍しく優しい表情をして私を見ていたから、今日は幸せな日だ!






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