3秒後、きみと恋がはじまる。
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「私も茜くんをドキドキさせたいんです」
無事に留年の危機も免れた、平和なある日の昼休み。
ユリとスミレとお昼ご飯を囲みながら、しょんぼりしてふたりを見つめる。
「私ばっかりドキドキして、茜くんは私に微塵もキュンとしてないじゃない…?」
「ああ…まあ、そうね」
そうねって言われた…。
それはそれでショックだ…。
「あっ。じゃあさ、いつもと違うメイクしてみようよ!」
わくわくした顔でスミレが鞄の中からコスメポーチを取り出す。
「それいい!」と目を輝かせたユリも、どうして学校に持ち歩いているのか全くわからないけれど携帯用のヘアアイロンを取り出した。
まかせて!と楽しそうなふたりはたしかにいつもメイクも髪もばっちりだ。
よし、ここはふたりに任せよう!と思って「お願いします!」と頭を下げる。