3秒後、きみと恋がはじまる。



いつもはふわふわに巻いている髪は、ヘアアイロンでさらさらのストレートに。

いつもはピンクで甘いメイクをしている顔は、ブラウンのアイシャドウと赤いリップグロスで大人っぽく。


いつもは開けないワイシャツの第2ボタンまで開けて、リボンじゃなくてネクタイに。





「できた!大人っぽいじゃない」

「これだけ雰囲気が変わったらもしかしたら有村くんも少しはドキドキしてくれるんじゃない?」





もしかしたら、とか、少しは、とか。
保険をかけるスミレの言葉が少し気になるけれど。


鏡を見ると、いつもの数倍大人っぽい私がいて。



「すごーい、ありがとう!
茜くんに早く見せに行ってくる!」



茜くんの反応を妄想して、わくわくしながら特進科の校舎に向かう。



「茜くん〜!」


特進科の校舎、茜くんのクラス。
ガラッとドアを開けると、要くんとご飯を食べていた茜くんがこっちを見て、ハァ、とため息をついた。


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