3秒後、きみと恋がはじまる。



「特進科で何してるのー…って、有村に会いにきたのか」


私の前にいる茜くんを見て、察してくれたらしい。


「郁人くんは?」

「俺はマナちゃんに用があって」



郁人くんが指差す先には、このクラスの可愛い女の子。なるほど、さすがチャラ男。

特進科にまで女の子の友達がいるんだなぁ。




「ていうか桃ちゃん、今日大人っぽいね。
リップ赤いのも髪ストレートなのも可愛いじゃん」



私のまっすぐになった髪に指を絡めて、「お、サラサラ」と褒めてくれる郁人くん。


褒められて悪い気はしない。

…いちばん褒めてほしかったのは、茜くんだったけれど。



「あっ郁人、あったよCD!」
「お、ありがとう!」


マナちゃん、と呼ばれた女の子が郁人くんにCDを見せると、郁人くんは私の髪からパッと手を離した。


「今度遊ぼうね、桃ちゃん」

「あはは…」



相変わらず、チャラいなぁ。
だけどそのせいか、女の子の扱いがうまい。
可愛いって、普通に言えちゃうんだもんなぁ。




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