3秒後、きみと恋がはじまる。
心臓がドクン、ドクンと脈打って。
きっと耳まで赤くなって。
そっと、目を開けると、どうしてだか分からないけれど涙で目が潤んだ。
「っ……アイツにも、そんな表情したの」
余計不機嫌になった茜くん。なんで、怒ってるの…。
「わ、かんな…」
と、茜くんの手の甲が私の唇に触れて。
ぐい、と甘いチェリーの香りのグロスを拭い取った。
「え……」
茜くんの大きな手の甲には、さっきまで私の唇にあったチェリーレッドのラメ入りグロス。
「似合わない」
ねえ、茜くん。
少し顔が赤いの、私の気のせいなのかな。
不機嫌な理由、郁人くんと私が仲良くしてたからだって、自惚れたらだめかなぁ。
「いつもの方が好き?」
少し、調子に乗って。
そう聞いてみたら。
「まあ、たまにはそういうのもいいんじゃない」
目を逸らして。私のほうを見ないで。
小さな声で言ったきみの言葉を、聞き逃さなかった。
「茜くん、すき!」
「あ、そう」
ぶっきらぼうな返事も。
こっち見てくれない視線も。
大好きになっちゃったよ。