同期に恋して 〜ずっと片思い〜
あーあ。
雪が降りそうな空を見上げ、手袋をした手をこすり合わせる。

そんなときにカバンから聞こえたスマホの音に、一瞬涼真かと急いでディスプレイに目を向けた。

【お母さん】

そんなわけがないのに、少しだけ期待をしてしまったせいで、余計にがっかりしている自分が嫌になる。

手袋をとって、スマホの通話ボタンを押す。

「もしもし?」

『何よ、その暗い声は』
すぐにわかってしまうお母さんに苦笑しながら、私は言葉を続けた。

「どうしたの?」

『あのね、詩織ちゃんから結婚式の案内状、こっちに届いたわよ。そっちに転送すればいい?それとも返事を出しておこうか?』

このタイミングで、この電話か……。
私はさらに重くなる気持ちから、ため息をついた。
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