同期に恋して 〜ずっと片思い〜

「そうだよね!仕事しよ。仕事」
私は早口で言うと、課長に頼まれた書類を見つめた。

ばれてないよ……ね?
自分の事だって……。

内心ドキドキだったが、私は必死に仕事に意識を向けた。

「ちな、それ今日中なの?」
涼真はチラリと私の手元を見ると、声をかけてくる。

「うん、そうなの。何か大変みたいだし」
私もさっきの課長を思い出し、こんなことをしている場合ではないと急いでファイルを開いた。

「そっか。何か手伝えることあれば言えよ」
涼真の優しさに、チラリと見上げると「ありがとう」と言葉を発した。

そう涼真は誰にでもかもしれないが、優しいしよく気づく。
だからまあ、モテるのだろうが……。

涼真がたった一人の人を大切にすることはあるのかな?
その人はきっと幸せだろうな……。

私は小さくため息をつくと、仕事に集中した。




< 16 / 105 >

この作品をシェア

pagetop