同期に恋して 〜ずっと片思い〜
「ちな、ほら」
目の前に置かれた紙袋に、私は顔を上げた。
「あ……」
ありがとうという言葉がでず、なぜか泣きたくなる。
目尻が熱くなり、こんなことで泣くわけにいかなないと、ギュッと唇を噛んだ。
1人残されていた、少し照明の落ちたフロアでだんだんと気持ちが落ちていたのだろう。
「まったくちなは……」
ボソリと言われた言葉に、迷惑をかけてしまったと今度こそ涙がこぼれた。
「ごめん……迷惑かけて」
私のその言葉に、涼真が慌てて私を見た。
「違う!ちな。ごめん!いや、泣くな!ちな。ほらお腹空いてるんだろ?」
ガサゴソと紙袋の中から、あったかい肉まんをだして涼真は私をみた。
ハンカチで目元を抑えていた私の手を、涼真はそっと取るとそこに肉まんを置く。
ハンカチがなくなり、ポロポロと落ちる涙を止めようとしても、止まらず私はもうヤケクソでとりあえず肉まんを一口かじった。