同期に恋して 〜ずっと片思い〜
そこへ、そんな私の気持ちを見透かしたような涼真からのメッセージに私はため息をついて立ち上がった。

「車で行こう?迎えに行く。住所教えて」

車持ってたんだ……。

いつも電車通勤をしている涼真が運転できることすら知らなかった。
また、一つ同期以上の事を知ってしまった。

上場企業の営業のエースなら、車ぐらい帰るお給料は頂いているのだろう。
営業事務の私とはきっと違うのだろうな。
そんな事を思いながら、諦めてクローゼットから服を選ぶ。

淡い色のワンピースを取り出して、鏡で合わせてみたが、いかにも張り切っているような自分に、慌てて首を振った。

「危ない危ない……」

いつもパンツスーツが多い私が、急にスカートなんて履くなんて……。
当たり障りのなり、黒のパンツに、白のニットに黒のコートを羽織る。

本当にかわいげのないモノトーンコーデに自分でも笑えてきた。
でも、ただの同期と思い込むための、私の戦闘服だ。

カバンだけは指し色を入れて涼真に住所を送った。

今まで通りでいればいい。
そう自分で言い聞かす。


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