同期に恋して 〜ずっと片思い〜
「あ、忘れてた」
そう言った涼真に、私は何か忘れたのかとくるりと頭を後ろに向け……。
え?
向けたと同時に、目の前にいっぱいに広がった涼真のきれいな顔と、それと同時に温かく触れた涼真の唇。
え……?
キス……された?
「おやすみ。ちな」
蕩けるような視線が私を見ていた、恥ずかしくなるのを通り過ぎて、何が起きているかわからず、私は呆然と涼真を見つめ返していた。
「おやすみ……」
それだけの言葉を口にすると、私は何も考えられないまま車を降りた。
あれ?
今のはなに?
これも練習?
そんな事がグルグルと頭をめぐる。
スタスタとマンションへと入り、エレベーターに乗り込んで一人になって、初めて今のキスが、現実のものと分かり、私は真っ赤になってエレベーターの中で座り込んだ。