同期に恋して 〜ずっと片思い〜
「俺がちなの彼氏になるって言ったのは、演技だと思ってたって事?」
「うん……」
あの日の事は、ふわふわしていて記憶も曖昧だ。
どんな表情で涼真がその言葉を言ってくれていたのかも、全く覚えていない。
「俺は、ちなが俺が彼氏になってくれてうれしいって言ってくれたから、てっきり付き合う事OKだと思って、次の日もデートだと思ってたのに、なぜかちなの態度がおかしいなと思う事が多くて……」
「結婚式までの演技の練習だと思ってた」
素直に言った私の言葉に、涼真は苦笑するとほっとした表情を見せた。
「そっか。あんな酔ったちなに、酒の勢いで言った俺が悪い。俺ちなの前では本当にかっこ悪いよな……」
あれだけいつも完ぺきに女の子に対応している涼真と同じ人とは思えない言葉に、私はクスリと笑いを漏らした。
「笑ったな!」
そう言って涼真は私の髪をぐしゃぐしゃにかき回すと、ギュッと抱きしめた。