同期に恋して 〜ずっと片思い〜

優しそうな笑みを浮かべた涼真に、ホッとして涙がでそうになる。
というか、ポタリと涙が落ちた。
そんな私の事など分かっていると言った様子で、涼真は私のコーヒーカップを持つと、空いた手で私の手を取った。

「行こう」

「え?でも涼真は飲まないの?」

「頼んでないよ」

初めから飲むつもりはなかったようで、ただ私の手を取ると涼真は店の外に出た。
すっかり暗くなってピンと張りつめた冷たい空気が私を包む。

そんな私の手をすっぽりと涼真は自分のコートのポケットに入れると、迷うことなく歩き出した。

「涼真……」
呟いた私に、涼真は私の瞳を伺うように見た。

「ちな、今日は俺のうち来れる?」
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