【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
プロローグ
私は、自分の見た目が大嫌い。
癖っけのウェーブの髪も、厚い唇も、無駄に膨らんだ胸も、必要のない泣きぼくろも、このたれ目も……ぜんぶ、全部嫌い。
「なあ、見ろよ静香(しずか)先輩。マジで色気やばくね?」
「俺らみてーなガキには刺激強すぎだよな~」
「一回でいいから、相手してくんねーかな」
「無理だって。お金持ちのおじさんしか相手にしないって噂だし」
図書委員として、受付をしている最中。
……聞こえてるん、だけどな……。
遠目から私のことを見ている男の子たちの会話が耳に入って、胸が痛む。
自分が周りになんて言われているのかは知っているけど、直接話を聞くのは、やっぱり良い気はしない。
彼らの目に私がどう映っているのかと考えると、怖かった。
今すぐここから逃げ出したいけど、委員としての役割があるから、仕事を投げ出す訳にもいかない。