【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
ああ……あれか。愛人って。


なんだ、本当だったのか。



……バカみたいだ、本当に。


一体、自分がどうしてここまで、ショックを受けているのかわからない。

ただ、母親の顔が脳裏を過ぎった。


不倫の末、俺と父親を捨てた母親の顔が。





何が、心の綺麗な人間なんだろうな、だ。


結局女なんて、そんなもの。

今見たものが、紛れもない真実だ。









それから数日が経った日だった。


試合に控えての練習ばかりで、迫ったテストへの対策が疎かになっていた俺は、勉強をするため図書室へ行った。


きっとそんなに人はいないだろうと思っていたのに、行ってみると図書室内は何故かやけに男の利用者が多い。


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