【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
なんだ……、野郎ばっかり……。
一瞬不思議に思ったが、その理由はすぐにわかった。
受付に座る、女の姿。
背筋を綺麗に伸ばし、無表情で座っている花染静香がいた。
……っ。
今一番、会いたくなかった人間。
出て行ってしまおうかと一瞬考えたが、逆にこの女を意識しているようで、そんな自分が嫌だった。
関係ない……空気だと思えばいい。
別に俺は、こいつに対してもうなんとも思っていないんだから。
気にしないフリをして、奥の方の席に座った。
すると、前の席に座っていた男三人が、図書室にふさわしくない声の大きさで会話をし始めた。
「なあ、見ろよ静香先輩。マジで色気やばくね?」
「俺らみてーなガキには刺激強すぎだよな~」