【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


なんだ……、野郎ばっかり……。


一瞬不思議に思ったが、その理由はすぐにわかった。



受付に座る、女の姿。

背筋を綺麗に伸ばし、無表情で座っている花染静香がいた。



……っ。


今一番、会いたくなかった人間。

出て行ってしまおうかと一瞬考えたが、逆にこの女を意識しているようで、そんな自分が嫌だった。


関係ない……空気だと思えばいい。

別に俺は、こいつに対してもうなんとも思っていないんだから。


気にしないフリをして、奥の方の席に座った。


すると、前の席に座っていた男三人が、図書室にふさわしくない声の大きさで会話をし始めた。



「なあ、見ろよ静香先輩。マジで色気やばくね?」

「俺らみてーなガキには刺激強すぎだよな~」


< 101 / 507 >

この作品をシェア

pagetop