【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


「一回でいいから、相手してくんねーかな」

「無理だって。お金持ちのおじさんしか相手にしないって噂だし」



多分、女も聞こえてるんじゃないか。

こんなにも大きな声で自分の話をされたら、少しくらい気になるはず。


まあでも、愛人をするような図太い女ならこんな会話くらい無表情で流せるのかもしれない。


そう思い、花染静香に視線を移した。


目に映った彼女が、俺には今にも泣き出しそうに見えた。



……なん、で、



「なあ、お前試しに連絡先聞いてみろよ」



ほんと……なんなの、この女。



「は?無理だって、相手にされねーって」



俺、知ってるんだからな。お前が朝から男に送ってもらってたこと。

噂だって、あながち間違ってないんだろ……?




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