【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「ごめん、なさいっ……」
彼女は何故か、俺に謝ってきたのだ。
その謝罪が、一体何に対してなのかはわからない。
けれど、今しかないと思ったんだ。
「……俺、も」
「……え?」
「……言い過ぎ、ました」
謝るなら、今しか……。
「い、いえっ……私が全部、悪かったので……」
彼女は怒るどころか、最低なことを言った俺をあっさりと許してくれた。
自分が全部悪いって……どう考えたって、あんなことを言った俺が悪いに決まってるのに。
……なんで、この人はこんな、嬉しそうな顔しているんだろう。
やっぱり彼女はーー優しい人、なんじゃないのか……?
そんな一筋の希望が、俺の中に生まれた。
……ていうか、なんでこの人、ここにいるんだろう……。