【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
サッカー部と、無縁だろ……?
「…………どうして、ここにいるんですか?」
「あの、臨時で「ーーじゃあ、説明始めます。お前ら静かにしろよ〜!」
何か言おうとした彼女の声は、キャプテンの声によって掻き消された。
……ま、後で聞けばいいか。
けれど、この謎は聞く必要もなく、解決することとなる。
「俺の大事な子だから、手出すの禁止ね。必要最低限の会話もダメ」
佐倉先輩が、まるで見せつけるみたいに、みんなの前で宣言した。
……なんだ。
「そういうことかよ……」
佐倉先輩の彼女って、わけか……。
俺、本当に馬鹿じゃない。
一体、何を期待していたんだろう……
酷く落胆している、自分がいた。
そして、自分がまだ彼女のことを忘れられないでいたのだということに、嫌でも気づかされる。
部活の先輩の彼女、とか……ありえねーし……。
説明会が終わると同時に、今すぐこの場から逃げ出したくなって、席を立つ。