【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
私の頭に頬を摺り寄せているのは、今年23才になるお兄ちゃん。
「忘れてないよお兄ちゃん」
お兄ちゃんは、とても私のことを可愛がってくれる。
大学3年間、お兄ちゃんは海外留学していて私が中学生の頃は全く会えなかった。
日本に帰ってきて、仕事をしている今、会社に近い場所で一人暮らしをしながらも、日曜日はいつも家に帰って来てくれる。
そして、月曜日の朝、出勤ついでに、私を学校まで送ってくれる。
今日も、学校まで送ってくれると言ってくれた、優しいお兄ちゃん。
かっこよくて、頭が良くて、なんでも出来るお兄ちゃんは、私の自慢だ。
「荷物はこれだけか?」
「うん」
合宿の荷物の入った重たいキャリーバックを軽々と持ち上げたお兄ちゃんが、車までそれを運んでくれた。