【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
私も立ち上がって、家を出るためお兄ちゃんの後をついていく。
「お母さんお父さん、バイバイ」
お兄ちゃんの車の助手席に乗って、窓越しに、外まで見送りに来てくれた二人に手を振る。
「気をつけるのよ!」
「早く帰ってきてくれよ静香ぁ!」
「ふふっ、はーい」
二人が見えなくなるまで、私は手を振り続けた。
行ってきますっ……。
「送ってくれてありがとう、お兄ちゃん」
正門の前で、私と荷物を降ろしてくれたお兄ちゃん。
「静香のためならお安い御用だよ」
にっこりと微笑むお兄ちゃんの顔は、同じ血が流れているとは思えないほど整っている。
きっと、会社でもモテモテなんだろうなぁ……と、ふと思った。