【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
近づくふたり
ピピピピピという電子音が鳴り響き、私は健太くんの方を見た。
「何度でしたかっ……?」
「38.5分です……これ、帰した方がいいですかね……?」
健太くんの口から発せられた数字に、私は下唇をぎゅっと噛み、布団で眠っている和泉くんに視線を向ける。
和泉くんが倒れた後、どうしようかと途方に暮れていた私。
そんな中、私を追いかけて健太くんが来てくれて、すぐに助けを求めた。
健太くんにおぶってもらい、ひとまず余っていた使われていない一室に和泉くんを運んだ。
応急処置で毛布を重ね暖かくし、氷囊や水分なども持って来たのだけれど……
「一旦、ご両親に連絡した方がいいかもしれませんね……」
この熱じゃ、合宿どころでは無いだろう。