【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



健太くんに尻尾が付いていたら、ブンブンと揺れていただろう。


申し訳無いけれど……この後の仕事を健太くんにお願いしよう……!



「私、ちょっと用事があるので、夕食の方お願いしてもいいですか……?料理やお皿は用意してあるので、部員さんたちに配って、先に食べていてもらえると助かります……!」



健太くんに、お願いしてーー私は、和泉くんの方へ行かなきゃ。

心配で、放っておく事なんて、どうしても出来ない……。


せめて和泉くんが目を覚ますまでは、私が……



「もちろん大丈夫ですけど、用事って……?静香さんは、一緒に食べないんですか?」



不思議そうに私を見つめる健太くんに、ドキッと心臓が音を立てた。



「えっと……じ、自分の部屋の模様替えと、朝ご飯の仕込み、です……!ご飯は、後でいただきます」



口から出た、苦し紛れの言い訳。
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