【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「それじゃあ、お願いしますっ」
本当にごめんなさい、健太くんっ……!
それにしても……凄く顔が赤かったけど……
も、もしかして、健太くんも風邪が移ったんじゃ……!
後でちゃんと、体調悪くないか聞いておこう……!
私も、マスクをして行かなきゃ……!
替えのタオルと氷水、そしてミネラルウォーター、氷枕を持って、和泉くんの部屋へと向かう。
ゆっくりと扉を開けると、先ほどと変わらず苦しそうに眠る和泉くんの姿があった。
……熱い……さっきより、熱が上がっているかもしれない……。
そっと触れた額から伝わってきた熱に、思わず顔を顰める。
私は起こさないように、枕とタオルを替えて、寒くないように毛布をもう一枚被せた。
これで少しでも、良くなればいいんだけど……。