【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
ひとまず、起こさなかったことにホッとして、スヤスヤと眠っている和泉くんを見つめる。
……なんだか、初めて和泉くんが、年下に見える……。
とても大人っぽいから、後輩だと知った時は驚いた。
落ち着いていて、寡黙で、しっかりしてて……
普段は見れない子供のような寝顔に、自然と笑みが溢れた。
……って、いけない……!
こんな、人の寝込みを勝手に見つめるなんて……っ。
ただでさえ嫌われているんだから、和泉くんが嫌がることは、絶対ダメ……!
自分を叱咤して、慌てて視線を逸らした。
ひとまず看病も終わったから、そろそろ行こう……。
このままここに居ても、今何も出来ることはないし、
それに……目が覚めて私がいたら、和泉くんの目覚めを妨害してしまうっ……。
音を立てないように、ゆっくりと立ち上がろうとした……時だった。
「……ん……」
……え?