【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「あの……」



静寂を破るように発せられた和泉くんの声。

それに、ビクッと肩を震わせた。


な、何、だろう……?


身構えながら、和泉くんを見つめる。



「……今、何時です、か……?」



拍子抜けするような質問に、「え?」と声が漏れた。



「……い、今は、19時前です」



とりあえず答えなきゃっ……そう思い、腕時計を見て時間を口にした。



「……俺、ずっと……寝て、ましたか……?」

「はい……」

「……そう、ですか……」



頷いた私に、和泉くんは呆れた様子でため息を吐く。


その後、再び黙り込んで、室内に気まずい空気が走った。


ええっと……私、ここにいても、いいのかな……?


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