【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
急に泣いたりなんてしたら、気持ち悪いやつって思われちゃう。
せっかく話せたんだから、これ以上……嫌われたくない。
好かれる可能性なんて皆無だから、せめて普通の先輩くらいに思われてたい……。
「健太、くん……?」
そんなことを考える私を側に、先程よりもトーンの下がった低い声を出した和泉くん。
「……随分仲良いん、ですね……」
……え?
仲が良いって、私と健太くんのことかな……?
どうしてそんなふうに思うんだろう?と不思議に思いながら和泉くんを見つめると、そっぽを向かれてしまった。
私に背を向けるように、寝返りを打った和泉くん。
……?
よくわからないその行動に、私の頭上に幾つかのはてなマークが並ぶ。