【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「おかゆとかでも、無理そうですか……?」
「…………お、かゆ……?」
一体その言葉の何が引っかかったのか、よくわからない食いつきを見せた和泉くん。
「……食べ……ます」
若干嫌そうにしていた先程とは打って変わって、和泉くんはこくりと深く首を縦に振った。
ひとまず、食事を摂ってくれる気になったことに安心する。
「なら、すぐに作ってきますね……!待っててください……!」
私は急いで立ち上がって、そう伝えた。
「あっ……それと、水分補給しっかりしてくださいね……?」
部屋を出る直前に一言付け足して、私は逃げるように立ち去った。
「ふぅ……」
はぁ……っ、緊張、したぁ……。
大きく息を吐いて、胸を撫で下ろす。
熱くて溶けてしまいそうな頰を、両手で包み込んだ。