【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「……よしっ」
調理室へ急がなきゃ。
今の私の使命は、和泉くんにおかゆを作って届けること……!
そう自分に言い聞かせ、私は調理室へと向かった。
調理室と、食堂の場所は近い。
おかゆを作り終わった頃、食堂の方から賑やかな声が聞こえてきて、もう食事の時間だと気付いた。
健太くんに任せっきりになってしまって、本当に申し訳ない……。
明日はたくさん働きます……!
心の中でごめんなさいと謝りながら、出来上がったおかゆを和泉くんのいる部屋まで運ぶ。
食欲が無さそうだったから、ひとまず何も入れていないシンプルなお粥を作った。
味付けは塩とダシだけだから、無理なく食べてもらえるといいな……。
ふぅ……。
部屋の前まで着いて、深呼吸をひとつ。