【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
《第3章》不機嫌な和泉くん
初日終了
朝食の下準備を30分ほどで終わらせ、夕食の食器洗いに取り掛かろうと思った時だった。
「静香ちゃん、いる?」
厨房に、佐倉先輩の声が響いたのは。
「はい……!います」
「よかった。……お疲れ様」
私のもとへ歩み寄ってくる佐倉先輩は、いつもの笑顔を浮かべている。
私に、何か用かな……?
さっき和泉くんの部屋で会ったけど……どうしたんだろう。
「何かありましたか?」
「いや、何もないよ。静香ちゃんと話したかっただけ」
……?
私と話しても、楽しくないだろうけど……。
なんだか申し訳なくなって、肩を狭める。
「マネージャーの仕事、どう?大変でしょ?」