【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「俺の方が先に仲良くなったのに……」
「……?」
「名前。俺は佐倉先輩なのに、柴原は健太くんなんだ」
……。
ど、どういうことっ……?
名前……佐倉先輩の方が、余所余所しいってこと、かな……?
「えっと……特に理由は……」
気にしたことも、なかった。
ていうより、逆に佐倉先輩はなにを気にしているんだろう……?
呼び方に拘りがある人なのかな?
そこまで考えた時、再び厨房の扉が開いた。
入ってきたのは、さっきまで話に名前が挙がっていた健太くん。
「あっ……ここにいたんですね!……って、キャプテン?」
私たちを見ながら、不思議そうに目を見開いている健太くん。
一方の佐倉先輩はなんともない顔で健太くんの方を見て、口を開いた。