【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「柴原、よく会うね」
「そっすね……えっと、俺静香先輩に用事があって……」
「はいはい。じゃあ邪魔ものは出て行くよ」
「じゃ、邪魔とか言ってないです……!!」
冗談めかした顔で笑い、佐倉先輩は私の方を見た。
「またね、静香ちゃん。今度は二人でゆっくり話そうね」
ひらひらと手を振る佐倉先輩に、私もぺこりと頭を下げる。
健太くんは、苦笑いしながら髪をポリポリと掻いていた。
「ほんとすいませんタイミング悪くて……」
「ふふっ、冗談冗談。じゃ、頑張って」
佐倉先輩が去って、室内に健太くんと二人になる。
私に用事って言ってたけど、なんだろう?
「あの……何かありましたか?」
「あ……!いえ!大した用事じゃないんです!明日の仕事の確認と、後静香さんの分の夕飯冷蔵庫にありますよって伝えようと思って……!」
夕飯……そうだ、忘れてた。