【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「ありがとうございます。それと、さっきは仕事を押し付けてしまってすみません……」
「いえいえ、気にしないでください。みんな静香さんのご飯、美味い美味いって言って食べてましたよ」
にっこりと微笑む健太くんの表情に、ホッと胸を撫で下ろす。
よかった……今まで家族とリナちゃん以外の人に料理を振る舞ったことがないから、ちゃんとお口に合ったみたいで安心した。
この合宿で、全然役に立てていない気がしていたから、尚更安堵した。
「よかったです……明日からも頑張ります」
「はい!静香さんのご飯、楽しみにしてます!!」
そう言って満面の笑みを浮かべる健太くんは、愛でたくなるほど可愛かった。
「静香さん、もう今日は休んでくださいね?疲れてるだろうし……」
「いえ……全然平気ですよ。洗い物が済んだら、休ませてもらいます」
「あっ……そっか、俺も手伝います!今日はもうすることないんで!」
健太くんのお言葉に甘えて、二人で何気ない会話をしながら、食器洗いを済ませた。
怒涛の初日が終わり、私は部屋でつかの間の休息をとった。