【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
うん、一度私からも、お願いしてみよう。
朝食の頃には、食堂に集まってくれるだろうし……その時にでも。
『俺、先輩みたいな軽い女、嫌いなんで』
私が様子を見に行くより……他の女の子に任せた方が、良いに決まってる。
胸の奥が、ちくっと痛んだ気がしたけれど、気にしないふりをした。
* * * *
あれ……?
マネージャーさんたち、もう集まってる……!
1つ目のサンドイッチの入ったバンジュウを持って食堂に行くと、マネージャーさんがすでに3人、揃っていた。
私が現れたのに気づいてか、急に静かになる食堂。
やっぱり私……正式なマネージャーじゃないし、苦手がられてるかもしれない……
なんだか申し訳なくなって、バンジュウを置き、再び厨房へ戻った。
はぁ……こういう時、自分の性格が嫌になる。
もっと交友的に関わって行きたいのに、自分から人に話しかけたりすることが大の苦手だった。