【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
和泉くんの部屋へ続く廊下で——
「ねぇ見た?花染先輩の顔」
「見た見た!あたし間近で見たの初めてだけどやばかったわ……」
「わかる……女優かよってくらい美人だったんだけど……」
「ていうか思ったより優しそうな人でびっくり……!」
「わかるわかる!しかも喋り方可愛すぎかよみたいな!」
「極め付けに最後のあの笑顔よ……あれはモテるわけだわ……」
——そんな会話が繰り広げられていたなんて、知る由もなかった。