【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
想い人
【side佐倉】
俺は——女の子っていう生き物は、とても醜いと思う。
裏表を兼ね揃えて、可愛らしく繕うその生き物がはっきり言って苦手だ。
女兄妹に囲まれて育ったから、尚更そう思うのかもしれない。
「佐倉せんぱーいっ!お疲れ様です!」
「タオル要りますか?」
「ボトルどうぞ!」
部活中。休憩に入った途端、待ってましたと言わんばかりに群がってくるマネージャーたち。
その策略には気づかないフリをして、俺はいつも笑ってみせる。
「ありがとう」
満足した様子で微笑み、はしゃいでいるマネージャーたちを見て、心の中で呟いた。
バカだなぁ。
ほんと、愉快な頭で羨ましい。
俺のこと、純粋無垢な優しい男と信じて疑わない女の子たち。