【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「キャプテン……見学だけでもいいから、いさせてください……」
「ダメだ。つーか、他の奴にも風邪うつる可能性あるだろ。そういうことも考えろ」
「……ちっ」
こいつ今舌打ちした……?
俺のこと先輩だって思ってないだろ……はぁ……。
正直、女の子の次に、こいつが苦手だった。
こいつは常に自由に、誰にも気を遣わずに生きてる。
そういう生き方をできることが、そう生きることを許されてきたこいつが羨ましい。
……まぁ、男の情けない嫉妬ってやつなのか。
こいつもちょっとは、マネージャーに愛想よくしてくれ……和泉目当てで入った子まで俺の方に来て、もう面倒なんだよ。
そんなことを思いながら、和泉を見張りつつ部屋へ向かって歩く。
こいつを部屋まで送ったら、静香ちゃんの様子見に行こ……。
そう、思った時だった。
「それにしても、花染さん来てくれてよかったなぁ〜」
「ほんとほんと、やっぱり可愛い子がいたらモチベーション上がるわ」
「リナちゃんにやめてもらって逆によかったかもな」
洗濯場の方から、そんな会話が聞こえたのは。