【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「……ごめんなさい、私、携帯持ってなくて……」
「……え?ほ、んと?」
佐倉先輩は、これでもかと目を見開いて、私を見た。
スマホ、そろそろ持たないといけないかなって思ってるんだけど、私の家では18歳の誕生日に、買ってもらえることになっている。
だから、連絡先の交換というのが、出来ないんだ。
申し訳なくて恐る恐る先輩を見つめると、珍しいものを見るような視線を私に向けていた。
「断る口実って訳じゃ、なさそうだね」
「……?」
「……ふっ、やばい、俺すっげー面白い子見つけちゃったかも」
……また、笑ってる。
佐倉先輩は、笑いのツボがおかしい人なのかな……?
「えっと、あの……?」
「ふふっ、ごめんね。えっと、それじゃあ今度、部活休みの日に遊ぼうよ」
「それは、是非……」