【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
秘密の契約
「い、和泉くんは、ダサくなんてないです……!」
自分の失言に気づいたのは、目をまん丸と見開いた佐倉先輩と視線が交わった後だった。
……っ。
私今……和泉くんって……言った……?
サーっと、血の気が引くのを感じる。
「あ……あのっ……違っ……」
早く言い訳しなきゃと思いながらも、嘘が思い付かなくて、言葉が出てこない。
えっと、えっと……っ、
「い、和泉くんっていうのは……お、同じクラスの人で……!」
「……静香ちゃんのクラス、和泉なんて名前のやついないよね?」
「……っ」
「あれ、カマかけたんだけど当たっちゃった?……ふふっ、嘘下手だなぁ静香ちゃんは」
にっこりと、不自然なくらいの笑顔を浮かべる佐倉先生に、私はお手上げだった。