【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
佐倉先輩も、あれだけの好意を寄せられていたら……必然的に全員は受け入れられないよね。
その気持ちを考えると、胸がチクリと痛んだ。
「だから……静香ちゃんが彼女のフリしてくれない?そうしたら言い寄ってくる子も減ると思うんだ」
一瞬忘れていた彼女のフリという魂胆を理解し、頭の中の電球にピコンッと明かりが灯された。
「な、なるほど……」
そういう意味だったんだ……!
もちろん、佐倉先輩のような素敵な人が、私に告白するなんてありえないから、何か理由があるとは思ったけど……佐倉先輩は策士な人だっ……。
確かに恋人がいる人ってわかったら、告白してくる人もいなくなるはずっ……!
フリでも、私が恋人だなんておこがましいけど……けどそれで佐倉先輩が楽になるなら、力になりたい。
「私でよければ——「でも、やるからには本物の恋人に見えるように、振舞ってもらいたい」
……え?