【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
《第4章》不器用な恋たち。
消えない想い
「静香さん、俺がしますよ!!」
一人じゃ持てない朝ごはんをワゴンに乗せたくて、どうしようかと悩んでいると、背後から来た健太くんが持ち上げてくれた。
軽々とワゴンに移していく健太くんに、男の子は凄いなぁと感心する。
「ありがとう健太くん。重たかったから凄く助かります……!」
笑顔でお礼を言うと、いつものように健太くんは顔を真っ赤にした。
健太くんは、人にじっと見つめられると、恥ずかしくなる子なのかもしれない。
毎回りんごみたいに赤くなっているから、最近そう思い始めた。
「い、いえ……力仕事は任せてください!」
私の方を見ないでそう言う姿を見て、照れているのかなと微笑ましくなる。
4日目の朝食メニューは、和食にした。
いつもパンばかりだと部員さんたちも飽きるだろうし、今日は早起きして頑張ったんだ。
早起きっていうより……昨日は寝付けなかったっていう方が、正しいんだけど……。
佐倉先輩から言われたことをずっと考えていたら、なんだか眠れなかった。