【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
失恋
「静香、おはよ!」
「おはよう、リナちゃん」
本をパタリと閉じ、リナちゃんに笑顔を向ける。
そんな私を見ながら、リナちゃんはギョッと目を見開かせた。
「あ、あんた、どうしたのよその目。腫れすぎじゃない?」
……う、やっぱり気づかれた……。
「……あ、えっと……」
「なに?また映画でも観て泣いたの?」
そう言って鼻で笑うリナちゃんに、苦笑いを返す。
昨日あれから、図書委員の仕事が終わって家に帰った。
帰り道、和泉くんの言葉を思い出して、涙が溢れてきて、お風呂に入っている時も、夜寝る直前も……情けない話、ずっと涙が止まらなかった。
結果、朝鏡で自分の顔を見て、変な声が出るほど目が腫れていたんだ。
時間が経って引いてくれたらいいけど……。