【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「…………少し、いろいろあって……」
「……いろいろ?」
眉間にシワを寄せ、怖い顔をしたリナちゃん。
「なに?言ってみなさい?」
詰めいるように至近距離で見つめられ、困ってしまう。
ど、どうしよう……なにから話せば、いいんだろうっ。
ていうより、和泉くんのことは、話さない方がいいかな……?
リナちゃんは、サッカー部のマネージャーでもあるんだし……
「……」
「あたしに隠し事出来ると思ってるの?」
なんて言おうと考え黙り込んだ私に、リナちゃんの鋭い一言が届く。
うっ……
「……えっと……簡潔に、言うと……失恋しました……」
「…………は?」
正直に白状した私。
リナちゃんは、ぽかんと口を開け、まん丸と見開かれた瞳に私を映した。