【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
その笑顔ひとつで
和泉くんと佐倉先輩がいなくなった部屋で、私はさっきのことを思い出した。
和泉くん……何しようとしたんだろう……?
さっき、私に向かって手を伸ばした和泉くんを思い出す。
何か言いたそうな表情をしていたのが、頭に焼き付いていた。
もしかして……私、何かついてるっ……?
そう思って、自分の服を見る。
特に何も見当たらず、自分の予想が見当違いだったという結論に落ち着いた。
「花染さん?どうしたの?」
戻ってきた保健医の先生が、不思議そうに私を見ている。
「あ……い、いえ」
すぐに、笑ってごまかした。
「それより、寝てなさい。今日は何もせずに休むのよ」
「あ……はい」
健太くんに、申し訳ないことをしてしまったなぁ……。