【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



「今日の晩飯は流石に食えねーだろ」



……え?

部員さんたちのものと思われるその声。

晩御飯の話……?



「俺超腹減ってるけど、流石にあれは無理」

「俺も……一気に食欲失せた……気持ち悪い……」



こっちに向かって歩いているのか、聞こえてくる声はどんどん大きくなっていく。

そして、角の奥から、3人の部員さんが現れた。



「し、静香さん……!」



私を見て、驚いている3人さん。

ど、どうしてそんなに驚いているんだろう……?

私はひとまず、ぺこりと頭を下げた。



「あの、倒れたって聞いたんすけど、大丈夫ですか……?」



その言葉に、「あっ、だからか」と納得する。

私がこんなところでフラフラ歩いているから、驚かせてしまったんだろう。



「はい、大丈夫ですっ……」



そう言って、今度は深く頭を下げる。


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