【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「はい……!」
嬉しそうに頷いたマネージャーたちが静香さんを囲んだ。
「あ、ありがとうございます……」
口々に感謝の言葉を口にして、頭を下げている。
きっと、静香さんの優しさが伝わったんだと思う。
「い、いえ……むしろ私が倒れたせいで、皆さんが怒られる形になってしまって申し訳ないです……」
本当に申し訳なさそうにしている静香さんに、俺はなぜかため息が零れた。
……まさか、こんな人だと思わなかった。
優しい人だとは十分わかっていたつもりだけど……想像を超えていたというか……。
綺麗な人だなぁ……。
見た目はもちろんだけど、それ以上に心が。
こんな綺麗な人は、いないだろう。
どうやったら……
——この人を好きにならずに、いられるんだ。
そんな方法があるなら、教えて欲しい。