【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「静香さん、体調大丈夫ですか?」
「はい、もうすっかり元気です」
笑顔でそう答えたのに、健太くんは私を見て心配そうに眉の端を下げた。
「いや、まだ顔色良く無いですよ。静香さんただでさえ白いのに……今にも消えちゃいそうです」
「ふふっ、なんですかそれ」
健太くんの冗談が面白くて、笑ってしまった。
顔色は悪いのかもしれないけど、体調は昨日より随分とまし。
「仕事の方は大丈夫ですか?」
「はい。静香さんのおかげで、マネージャーたちすっかりやる気になりました」
「よかった」
笑顔の健太くんに、私も同じものを返す。
すると、健太くんがぼっと顔を赤く染めた。
「み、みみ、みんな心配してるので……早く元気になってくださいね……!」
心配をかけて申し訳ないなと思いながら、嬉しくもあった。