【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「え、あ……いえ……」
気まずそうに目を逸らしたあと、何やらマネージャーさん同士でこそこそ話しが始まった。
そして、再び一斉に私のほうに視線が集まる。
「あ、あの……ちょっと、顔見せてもらってもいいですか……!?」
ひとりのマネージャーさんが、代表するようにそう言ってきた。
か、顔……?
「え……は、はい、どうぞ……?」
そんなの、いくらでも構わないけれど……もしかして私の顔に、何かついてるのかなっ……?
どうぞとじっと立ち尽くす私に、マネージャーさんたちが一気に集まってくる。
みんな、まじまじと眺めるように私の顔を見ていた。
こ、これ、どういう状況なんだろうっ……。
「あ、あの……メイク、なにしてますか?」
……え?メイク……?
「してませんよ……?」
普段からもしていないし、合宿中は化粧水と乳液しかしていない。
メイクをしたら、さらに印象がきつくなっちゃうだろうし……。