【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「は、はい、嘘です……。一体どこからそんな噂が出てきたのか、私もわからなくて……」
ほんと……誰が立てた噂なんだろうなっ……。
「生まれてこのかた、男の人とお付き合いしたこともないので、根も葉もない噂なんです……」
「「「…………え?」」」
またしても口を揃えた彼女たちに、苦笑いが溢れる。
さっきから、驚かれてばかり……。
「付き合ったこと、ないんですか?」
「い、一回も?」
ありえないとでも言いたそうな顔で再確認され、深く頷く。
「……は、はい」
「うっそ……」
「静香さんが……恋愛初心者だって……」
そ、そんなに驚くことなのかな……?
「そ、それ、やばいですよ……!」
「なんでですか!?モテまくったでしょう!?」
「い、いえ……好奇な目で見られていただけで、モテたことなんて一度も……」
「静香さんがこんな無自覚な純粋少女だなんて、誰も思わないですよ……」